オゾンはヒドロキシラジカル、一酸化窒素、塩素原子などの存在によって分解される。これらは成層圏で自然にも発生するものであり、オゾンの生成と分解のバランスが保たれてきた。
しかし冷蔵庫、クーラーなどの冷媒や、プリント基板の洗浄剤として使用されてきたフロンなどの塩素を含む化学物質が大気中に排出されたことで、成層圏で塩素原子が増加し、オゾン層の破壊が進んだ。フロンは非常に安定な物質であるため、ほとんど分解されないまま成層圏に達し、太陽からの紫外線によって分解され、オゾンを分解する働きを持つ塩素原子ができる。
成層圏における、塩素原子による触媒反応系はダイマー駆動機構(dimer-driven mechanism)と呼ばれ、その反応素過程は次のように示される。
オゾン層は、46億年前に地球が誕生した当初から存在したわけではない。誕生当初の地球の原始大気は、主に二酸化炭素からなり、酸素分子はほとんど存在しなかったため、オゾンもほとんど存在しなかった。大気中に酸素分子が増え始めたと同時に、オゾンも増え始めたと考えられている。
原始大気には紫外線を吸収する物質が無いため、地上まで強い紫外線が降り注いでいたが、酸素濃度が上昇するとオゾンが増えて、地上に降り注ぐ紫外線の量は急速に減少していった。しかし当時、オゾン濃度が高いオゾン層が存在したのは、成層圏ではなく地上付近であった。これは、酸素濃度が薄いため、酸素を光解離させる紫外線が地上近くまで届くからである。酸素濃度が上がると同時に、紫外線の到達できる限界高度が高くなり、これに伴いオゾン層も上空へと移っていった。
原始大気では、酸素濃度の上昇ペースに比べて、オゾン濃度の上昇ペースの方が非常に大きかった。例えば、酸素が現在の100分の1と薄かった20億年前の大気でも、オゾンは現在の5分の1であった。オゾンの濃度は酸素に比べれば非常に薄く、酸素が少ない原始大気でも、紫外線の量は過去においても大きな変化は無いためで、現在と比べてそれほど少なくない量のオゾンが生成されていた[3][4]。
また、5億4,000万~5億3,000万年前のカンブリア爆発や、4億年前の脊椎動物の陸上進出(両生類の誕生)に関しても、オゾン層との関係が考えられている。このころは、酸素濃度の上昇によってオゾン層の高度が高くなり、地上付近のオゾン濃度が低下した時期および、オゾン濃度が高くなり地上の紫外線が更に減少した時期に一致する。
なお、近年上記とは逆に、化石燃料の消費に伴い、大気中の酸素濃度が減少しているとの報告がある。平衡関係にある酸素の減少はオゾン濃度の低下に繋がる。ただし酸素の減少量は現時点では極めて小さな値(年平均0.0004%、224億トン)に留まっている
このままオゾン層が破壊され地表に有害な紫外線が増えると、皮膚がんや結膜炎などが増加すると考えられている。気象庁の観測によると、日本上空においても、オゾンの減少傾向が確認されている。しかし近年になってフロンガスの全世界的な使用規制が功を奏したとみられ、オゾンは徐々にではあるが再生されつつあり、ほぼ問題は解決された。
なお、「これまでに放出されたフロンが成層圏に届くまでには数十年かかるので、オゾン層破壊はこれから更に進行する」というのは俗説である。実際、対流圏でフロン濃度が最大になってから成層圏でフロン濃度が最大になるまでに要する時間は、3~4年程度である。
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一方、最近の研究によると、温度が低くなるとオゾン層も減ってくるという説が提案されており、季節変動やQBO、南極振動などの太陽活動に誘起されたテレコネクションによる南極の寒冷化がオゾンホールの主な原因ではないかと指摘する報告があがってきている[7][8][9]。
成層圏ではオゾンと紫外線による光化学反応によって大気が加熱されることが、成層圏での気温上昇の主因であるが[10]、近年、成層圏では対流圏とは逆に気温の低下が報告されている。